働き世代こそ腎臓を守ろう!

うるみん新聞
2022年夏号

働き盛り世代こそ腎臓を守ろう!


みなさんは「CKD」という言葉を聞いたことがありますか?「CKD」とは、腎障害や腎機能低下が、ある一定の期間続いている「慢性腎臓病」のことです。腎臓は、加齢とともにその機能が低下することに加え、沈黙の臓器とも呼ばれており、身体の不調を感じる頃には、腎臓機能の悪化が進行している場合も少なくはありません。今回は、働き盛り世代の腎臓の健康について、腎臓内科・糖尿病内科専門の砂川先生に話を伺いました。


 腎臓は、①老廃物を尿として捨てる ②体液量や、血液の酸性度を一定値に調整 ③血液や骨を作るのに必要なビタミンDや レニンを体内で作るといった役割をしています。腎臓の働きが悪くなると、吐き気や嘔吐、気分不良になったり、むくみや心不全、高カリウム血症による突然死、貧血や高血圧などさまざまな不調をもたらします。

 腎臓の機能は加齢と共に機能が低下していきます。例えば20歳の腎機能を100点とすると、1年で1点ずつ機能点数が低下し、40歳では80点、60歳では60点、80歳では40点といった具合に低下していき、10点以下は透析準備と言われています。加齢による腎機能の低下に加え、高血圧症、糖尿病、メタボ、肥満、喫煙、腎臓病の家族歴などがある人はCKDになりやすいと言われています。

また、これらの要因はCKDになった時に、進行を早める原因にもなります。

  「沈黙の臓器」とも言われ、なかなか症状が表れず、自覚しにくいのが、CKDの特徴です。

飲酒、喫煙などの生活習慣や、生活習慣病に関連した過去の病歴、家族歴なども、慢性腎臓病(CKD)のリスクを高める要因とされています。まずは日頃の生活のなかで、左の異変がないか、チェックしてみましょう。

今回お話を伺った先生
すながわ内科クリニック 院長 砂川博司先生
沖縄県立中部病院地域連携室長内科副部長などを務めたのち、「すながわ内科クリニック」を開設。うるま市健康支援課とともに市民の健康を守る「ちゅらまーみプロジェクト」の実施に尽力している。

腎臓の健康を守るためにできること

①尿を調べましょう

 尿の異常は、見た目では分かりづらいことも多いため、「尿検査」で、蛋白がないか、数値で把握することが大切です。もし、尿蛋白があった場合は治療で減らし、できるだけ少なくしていきましょう。尿に糖が含まれる状態が続くと、「糖尿病」の恐れもあります。糖尿病は、CKDのリスクも高めるため、治療をしましょう。

②血圧をコントロールしましょう

腎臓のためには、血圧も低い方が良いとされています。1週間の平均で観察します。150mmHgが持続する場合、必ず医師に相談しましょう。薬で治る高血圧も多くあります。

③減塩を心がけましょう

 腎臓の悪化は、悪い生活習慣や食生活の積み重なりも要因となります。塩分を摂り過ぎると、腎臓に大きな負担がかかります。

④腹八分・体重管理を心がけましょう

 食べすぎ、運動不足は、肥満の原因になります。内臓脂肪型肥満になるとタンパク尿が出やすくなります。

尿検査と、血液検査により、腎臓の健康値を数値で測ることができます。急激な悪化を防ぐため、毎年定期的に検診に行きましょう。次のページからは、腎臓病患者の増加を防ぐための、うるま市の具体的な取り組みを紹介します。

市民の腎臓を守る
ちゅらま〜み(腎)プロジェクト

 うるま市では慢性腎臓病の重症化予防に向けた取り組み「ちゅらま~み(腎)プロジェクト」が平成29年から実施されています。今回は、プロジェクトの詳細を健康支援課のみなさんに話を聞きました。心身ともに健康で輝く暮らしを維持するために、腎臓の健康について考えてみませんか。
うるま市の現状
 
 プロジェクトを行うことになった背景として、うるま市・沖縄市では腎臓の状態が悪化して人工透析を受ける患者が増加傾向にあり、人口10万人あたりの透析人口が全国・沖縄県全体と比較して高いという現状がありました。そこで健康課題を解決するために、うるま市・沖縄市・中部地区医師会・全国健康保険協会沖縄支部の4者協働で事業を実施していくこととし、新規人工透析患者を減らすため「ちゅらま~み(腎)プロジェクト」がスタートしました。

かかりつけ医と腎臓診療医の連携  

 「病診連携医登録事業」とは「かかりつけ医」が一定の紹介基準に基づき、患者を「腎臓診療医」に紹介し、協働で病診連携に取り組むことで一人の患者を重症化させず、新規透析患者数を減らしていこうという取り組みです。令和3年12月時点では、この連携で紹介された件数は279件にも及んでいます。

保険者の取り組み  

 かかりつけ医がいない方で、健診の結果、紹介基準に該当する場合は、保険者(うるま市・沖縄市・協会けんぽ)が、ちゅらま~み(腎)プロジェクトに登録している医療機関への受診勧奨を行っています。また、対象となる市民の方への保健指導、医療機関や市役所の医療スタッフを対象にした研修会・情報交換会、市民のみなさまへ向けた本事業や慢性腎臓病についての啓発活動(減塩料理教室、市民講座など)も行っています。これらの取り組みについては、会議やニュースレターを通して、 登録医療機関へ情報共有しています。

尿中推定塩分摂取量検査の実施

 うるま市では、特定健診・集団健診で、尿中に含まれるナトリウム量などから、日頃の食生活のおおよその塩分摂取量を算出する検査を実施しています。1日の食塩目標量は、男性7.5g未満、女性は6.5g未満、高血圧や腎臓病の方は男女共に6g未満が推奨されています。

特定健診時の尿検査で実施している「尿中推定塩分摂取量検査」の令和2年度の結果によると、男性の約69%、女性の約81%が、目標値をオーバーしていることがわかっています。食塩の摂りすぎは、高血圧や、余分な食塩を排出するなどで、腎臓に負担がかかります。そのため、腎臓を守るためには、減塩が大切です。毎年定期的に特定健診を受診し、自分の健康状態をしっかり把握して、健康維持に努めていきましょう。

「上手な医療のかかり方アワード」とは、厚生労働省が上手な医療のかかり方への貢献につながる優れた啓発活動・取り組みを表彰するものです。令和4年3月15日に開催された、「第3回 上手な医療のかかり方アワード」表彰式では、うるま市・沖縄市 CKD(慢性腎臓病)・糖尿病性腎臓病 病診連携医登録事業~ちゅらまーみ(腎)プロジェクト~が、『第3回 上手な医療のかかり方アワード 厚生労働省 医政局長賞 自治体部門 優秀賞』を受賞しました。プロジェクトの開始から、新規透析患者数は減少傾向にあり、取り組みの効果がますます期待されています。

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体力アップ!免疫アップ!!

子どもの健康促進

水中運動は、水の抵抗や水温が体に刺激を与えるのと同時に、浮力を活用することで、陸上ではできない身体の動きが可能になり、全身運動としてとても効果的です。大人だけではなく、成長過程にある子どもたちの体力アップや免疫アップにも効果的。うるみんの水泳教室では可動床の高さを90センチに設定し、子どもたちが安心してプールを楽しめるようにします。
実際にうるみんで「子どもスイスイ水泳教室」に通っている3名のお子さんとその保護者に、水泳の結果について話を聞きました!
 
「子どもたちに何かスポーツを始めさせたかった」という、お母さんの思いがきっかけで「子どもスイスイ水泳教室」に通い始めた宮城悠月くんと、蓮くん兄弟。そして従兄弟の大野一颯くん。「水泳は、コーチの説明を聞いて、お手本を見て、理解したことを実践するというアウトプットするという流れが、子どもたちの成長にも役立っている」と話してくれました。
また、これまで喘息持ちだった健康状態も、水泳を始めることで発作になりづらい身体になったようです。
今回お話を聞いた方(左から)
大野(おおの)一颯(いぶき)くん(中1)
宮城(みやぎ)悠月(ゆづき)くん(小6年)、(れん)くん(小6年)

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フィットネスセンター マシン紹介(アッパーバック)

夏に向け背中を引き締めたい方にオススメのマシンをご紹介します。背中や肩の後面の筋肉を鍛えることができます。

引き締めだけでなく、猫背姿勢の改善や肩こり解消にも効果的なので、年齢、性別に関係なく様々な目的で利用されています。

エコボディーカードでうるみんをお得に利用

『運動施設利用による健康づくり事業 (エコボディーカード)』(有効期限は発行日より1年間)とは、特定健診、生活習慣病予防健診後、必要な保健指導を受けた方に発行されるもので、うるみんフィットネスセンターやスタジオ、温水プールの利用料金が通常の一般料金の半額で利用できます。ぜひ活用してくださいね。

利用者の声を聞いてみました!

 エコボディカードについては、市の広報誌を通して知ったと話す與古田さん。一昨年の健康診断で血圧が高めであることを指摘され、禁煙と運動を始めたそう。「運動習慣がなかったので、まずは、うるみんの『パーソナルシェイプアップ講座』に通うことで運動習慣を身に付けるようにしました。得に厳しいゴールは定めず、毎朝、体組織計で、体重、体脂肪、筋肉量、内臓脂肪をチェックしてモチベーションを保っています」と話してくれました。現在でも、週に3、4回程、うるみんフィットネスセンターに通い、健康維持に取り組んでいます。

今回お話を聞いた方
()()() (まなぶ)さん